ゆうくれない

何かを観た感想だったり諸々書き連ねた何か

フランケンシュタイン

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梅田芸術劇場

ビクター:柿澤勇人

アンリ:加藤和樹

で観ました。以下、倫理観があまりない人間の感想&ネタばれです。

 

総評として、アリかナシかといえばアリ。

あと、人類の創造って言っているけど、あれどっちかというとリサイクルでは?と思ってしまったが、当時の技術としてはつぎはぎにするので精一杯だろうし

ビクター自身も人間の部位は材料としか見てなくて、材料をくっつけたら人間になったぞ!やったね!な感じなんだろうな。

 

ただ、沼るほどかといえばそうでもない。

個人的に沼るポイントとしては、双方とも相手を求めていたのに、歯車が微妙にかみ合わなかったためにすれ違ってしまうやつです。

※主に1幕の話をしています。2幕はすれ違いっぽいですけど、個人的に実験が成功したのかとか、成功はどの範囲まで許容してるのかとか、そっち方向に意識をとられていて関係性にあまり目をむけられませんでした(なにやってるんだ)。

でも1幕微妙にすれ違いか…でも研究成功は2人の夢だろうから、ある意味すれ違ってない…?

沼る例:スリルミー、그림자를 판 사나이(影を売った男)

(ほかにもそういう感じのあるよ!ってあったら教えてください有識者

クパンサはなんというかペーターがベンデルのことめちゃくちゃ慕っていたのにその正体は・・・なとこですね。あれは別にある意味片方が相手のこと求めて・・・いなかったようなどうなんだろうでも(略))

 

あと、そもそもの設定として、「怪物をフランケンシュタインの友人にすればいいんじゃない??」と言い出した制作陣ひとの心ないな!!!(ほめてる)

墓堀してるアンリとビクター以上に怖いですよ。

クパンサもそういう感じにひとの心ない設定にしてますけど、何?韓国って制作陣の闇勢多い??

やめてくださいそういう設定好きな人間だっているんですよ!!!

 

 

好きな曲:たった一つの未来、夢の中で、人殺し(?)

たった一つの未来と人殺しの歌はメロディーが好きでした。夢の中ではどっちかっつうと歌詞かな。

 

そうそう、柿澤ビクターと加藤アンリ、お互い求めていてかっちり歯車かみ合ってたので沼らなかったです(率直)

感想をみると柿澤ビクターと小西アンリが陰×陰属性だったらしいのでそっちだと沼ったのかな?と思ったりしてますが、これはこれで面白かったです。

 

設定から考えると、ビクターは一族がもう町の人から良くない顔されてて(位が高いからそれ以上のことが起きないだけで、それなりの地位じゃなかったらもっと酷い扱いになってそう)、頭が良すぎて(そして生物を実験台としてみている)とこから友達もおそらくいない環境で、親の愛情も十分受けずに育ったところに、技術的に優れているアンリに出会うわけで。

ちょうど気も合ったし、腹心の友に出会えたのでビクター超ハッピー。

 

一方、アンリも両親いないし、学会から異端児扱いされてるし、生きてる意味わかんなくてそのうち自殺しそうな雰囲気だったところに「君の論文読んだよ、素晴らしい」って言ってくれる人いたらそりゃ惚れてまうやろ案件ですよ。

論文読んでくれただけでもいいのに、それに評価を与えてくれた神が目の前にいるわけですから、そりゃあ首差し出すわ・・・。

 

あと役者の要素も足すと、柿澤ビクターがあまりにもシャーロックみたく子供のまま大人になった自分勝手で人を見下してるわがままBOYなんですが(柿澤さんの十八番)

そこに心の広さが太平洋の加藤アンリが入ると、なんか・・・腹心の友っていうか第二の母っぽいんですよね。

飲み屋で泥酔した柿澤ビクターを介抱する加藤アンリなんというかオカンでした。

雑に対処せずに、はいはいもーしょうがないわねアンタはみたいな。

(でもオカンでありながら、それなりに女性の扱いが上手いので、遊びなれてそうではある。やるな加藤アンリ・・・)

 

しまいにはギロチン行く前の聖母のほほ笑みですよ。

ギロチンまでの流れですが、なんやかんやで葬儀屋を殺したのがビクターで、その罪を被ってギロチン行きになったのがアンリなんですけど、

加藤アンリだと、彼が一方的に思いついて柿澤ビクターに罪被るって言ってそう。

アンリ的には、どっちが良い研究者か分かってたと思うし、なんなら新鮮な首がいるのは本人も分かってたし、そして両親いないし、遺体の引き取り先がどうのとか考えると・・・となる気がする。

柿澤ビクターは権力でどうにかしようとしてましたけど、加藤アンリが悪魔のささやきでもしてた気がしますね。

「これで実験は成功する」

とかそういう感じの。

 

友人の生存か、研究の成功か天秤にかけた結果ではあるんですけど、何より加藤アンリがそれを望んでいた気がする。柿澤ビクターめっちゃ取り乱してたし。

あの聖母のほほ笑みは加藤アンリ主体だったんだろうなと。

自分の命より研究の成功優先するのもそれなりにヤバイ気がするんですよね。

どうせ死ぬなら人と研究のためになるならいっかなって感じですかね。

やっとアンリが死に場所みつけれたのかな。

 

それにしてもそれはそれでヤバイきがしますけどね。

正気じゃないぞ、もうちょい人間死ぬ前は顔を強張らせてもいいんだぞ!!

 

人間の死体を材料って呼ぶビクターもビクターですけど(でもそうやってみないと気が狂うと思うし、そう思ってる人じゃないとああいう研究向いてないきがする)

あんなに安らかに死んでいく人間ミュージカルであんまり見ない気がする・・・

加藤アンリ怖い・・・

 

そして、そんな友人をビクターは2回も殺してしまうわけですね(アンリ、怪物の2回)

しんどいな、ビクター。

 

 

場面前後しますが、飲み屋のシーンで「そっかー葬儀屋に行けば墓堀りなんてしなくてよかったな!!」

ってアンリが墓掘るモーションしながらわはっはって笑ってたのが印象的でした。

これ、普通だったら埋め立てとはいえ土掘るの割と重労働だったろうし、なんで手っ取り早い方法思いつかなかったんだろうかってテンションダダ下がりになりそうなとこだと思うんですけどそうじゃないんですよね。

 

ちょっと楽しそうなんですよ墓堀りの思い出。

多分、ビクターがボッチなのは確定として、似たようなことしてたアンリもボッチだったのかなと。それで初めて(?)の共同研究初めての共同作業が墓堀りだったりと考えてみたり。

張り込みみたいに2人で深夜墓地で死体埋めにくるのわいわい待ってたのかなと・・・

そうでもなけりゃあんなに笑顔じゃない気がする・・・

 ちょっとほほえましいんですよ、やってたこと墓堀りですけど。

 

ワイワイ楽しい飲み屋のシーンから一転、アンリ逮捕のシーン、落差がヤバイ。

脚本家は人の心がない(ほめてる)

たまにほかの方の感想で展開が急ときいてたので、そういうことかーと思ったんですけど、でもあんだけバッサリいってくれたほうがいい気がします。観た人にもよるんでしょうけど、私的にはテンポ良いという判断です。

 

一幕はこんな感じで、独りぼっちだった人たちが理解者に出会って、同じ目標に向かって協力してってまるでジャンプ漫画みたいじゃないですか。それは激熱なんですよ。

最終的に理解者の首を実験に使うんですけど。

 

 

2幕は倫理観置いといて話がしたいので、ちょっと覚書をここに。

 

音月さんはじめましてだったんですけど、カトリーヌの中低音の歌の方が声の広がりも無理が無くてとても好きだったーーーー。革命に参加する市民とかやってほしい。

 

あと、時折舞台の背景の額縁のようなものが十字架になってるのがとてもよかった・・・ただあれするなら影も十字になるようにあててほしかったな・・・。

 

場所場所に咲いてた赤いバラの意味がよくわかりません!!教えて有識者!!

 

はい、こんな感じです!!

 

 

こっから先は倫理観ちょっと置いておいた感想書きますのでご注意ください。

 

もしもあの研究成功してたら、論文の謝辞にアンリの名前書くのかな・・・とかそういうことを考えてしまうやつなので・・・。

 

2幕は怪物をあくまで実験台(実験結果?)としてみれるか、アンリの顔をした何かとして見るかで印象が変わる気がします。私は実験台としてみてました。

 

そもそもビクターは運が良くて運が悪いんですよ。

人類を創造するという目標があって、ちょうど戦争が起きてるので素材はごろごろ転がってるし、多分国も死なない兵士の研究とかでなるべく国に被害を減らせないかやってたんでしょうね。

国の研究予算の内訳と自分のテーマが合致したビクター運が良い。

予算とか、物資調達が困難だといろいろ行き詰るので・・・。

でも戦争が終わって、研究内容もアウト寄りのアウトなので葬り去りたかったんでしょうね。

柿澤ビクターの「祖国に栄光あらんことを」的なこと言うセリフ、一ミリもそんなこと思ってなさそうですごく推せた。

彼は幼少期母親を亡くしたのが発端で生命創造を目指してて、国のことなんてこれっぽっちも考えてないんですね。割とこれアブナイですけどね。研究姿勢はすごいけど。

 

でもまあ研究って最終的に自分の知りたいっていう欲求をかなえるためのようなもんだと思っているので、それを純粋にずっと続けられるエネルギーが彼にはあったんだな。

 

そしてアンリの首を使って実験をするビクター、失敗は許されない実験なわけです。

友人を実験台に使うとはいかがなものかとも思われるけど、

ただあの研究をしてるのはおそらくあの2人だけで、2人の目標こそ人類創造。

ただ、最期の2人の共同研究の成果があの怪物というのがなんともいえない。

 

ビクターは人間を材料としてしかみてなくて、人類創造した後のことを考えてなかった気がしますね。

創造した生き物の記憶とか知能とか…

でもビクターはもともとそういう考えだったのでそこらへんを考える必要はあまりなくて、

ただ誤算として顔がアンリなとこ。

 

柿澤ビクターはずっっと人として感情や倫理観の欠けた人間だったんですが、アンリと出会って人を人としてみれるようになってくるんです。

後々お姉ちゃんとか死んでいくときの悲惨さがそれです。

 

実験の対象物だけの存在とアンリを混同しているので、アンリが生き返ったと混同してしまい、生まれてきたのはアンリの顔をした怪物だったわけで…。

 

腹心の友の顔をした怪物に復讐されるのはしんどいな。ただ怪物もビクターの顔したジャックに色々されてたしどっちもしんどいな。

しんどいofしんどい。

 

ただ科学者として実験台を逃すのはあかんですよ、生殖能力の有無とかは考えないこととしても、環境に存在しない生き物を外に出してしまうのはあかん。なんならあそこが1番しんどいくらいだった。

 

あと、実験台たちがビクビクした動きするの、脳の電気がどーのこーのって話が出てたので、おそらく電流イメージだったのかな。

 

2幕はひたすら、アンリの記憶は復元(?)可能なのか、あの生物はどれほど生き永らえられるのか、しゃべれるようになるのか、そのスピードは

とか、完全に怪物を実験物として観ていてしまったので・・・

ところどころアンリの記憶が出てたみたいですけど追いつけなかった・・・。

 

ビクターの「お前喋れるのか」は実験体としてみたてんじゃないかなあ。

 

最後に怪物がビクターって呼ぶとこはさすがにアンリの意識持ってたんかい!!という衝撃と、腹心の友に復讐をされたビクターの呪われた生涯があまりにも不憫だなENDでしたが。

 

なんかそんなにしんどくないなーと思ってましたが感想まとめてるとしんどさがわかってきましたね…。