ゆうくれない

何かを観た感想だったり諸々書き連ねた何か

花組 はいからさんが通る 感想

花組はいからさんが通る」ライブビューイングを観てきました。

まずは柚香さんトップ着任(?)おめでとうございます!!

 

延期に延期が重なり、なんやかんや宝塚観るの7ヶ月ぶりくらいでした。

パレードの華やかさでちょっとうるっときてしまったり。

もはい客席の手拍子って劇団側からSEの一つとして捉えられてないか…?と思ったり。(私も劇場で手拍子したかった)

 

社会人になってから、労働のストレスやらのあれこれを宝塚の煌めきで燃やして過ごしてきたんですが、さすがに7ヶ月も観てないと精神的にクるものがあったなと身に染みてます。

どのシーンも絵画のような圧倒的美、群舞の美、宝塚フォーエバーって感じでした。

現実ではないけれど、目の前にあるその美しい幻想のありがたさを改めて認識できました。

私の人生には宝塚が必要だった。

 

と、延期明けのあれそれはこれぐらいで内容についてぱぱぱーっと書いていきます。

 

まずはいからさんが通るの原作は漫画なので色々とギャグパートもありーの、プロローグはthe!アニメのオープニングって感じでしたね。天は赤い河のほとりもそんな感じでしたし。

プロローグ後半キャラが出てきてポージングするのは見せ場としても漫画原作だなーというとこでも良かったです。

特に漫画だなーと思ったシーンは、2幕後半の紅緒が警察に捕まって仲間が奔走するシーン。

盆をぐるぐる回しながらの曲がすごくアニソンというか2.5舞台で流れそうというかアップテンポで良かったです。キャラもぴょこぴょこ出てきたり。うおおおーと一気にテンションが上がりました。

 

 

柚香光さんの少尉について。

祖母の夢を叶えるために許嫁と結婚することに抵抗が無いとか割と人情に厚い印象。

 

許嫁に関しては、わりと初対面から「面白い女!」感が否めないんですけどね。初登場シーンで女学生からキャーキャー言われることにめちゃくちゃ慣れている少尉、只者ではない。多分昔からあんな感じで言われたり、言い寄ってこびてくる女は星の数ほどいたんでしょうね。

ただ紅緒はそういう女ではなかったので、初対面にも関わらすず少尉にいろいろ突っかかります。多分彼は旧家の大人しい子女ばかり相手にしてただろうし、それと対照的な紅緒にそのあたりも物珍しさがあったのかなと。

 

それに加えて、最初は興味本位だったんだろうけど、そのうち紅緒の魅力に惹かれていったんだろうなーというのが柚香さんのニコニコ顔から見て取れます。紅緒はそれに気付いていないのでいろいろ不安がっていますが。

 

少尉、紅緒にアピールというか接触を図ろうとするとき大抵顔を近づけてじっと相手の顔を見るんですよ。

己の顔の良さが分かってらっしゃるこの男!!

まあ誠実さの表れかもしれないですけど。でもそれにしては紅緒のことからかってることが多いので、それなりに手慣れていそうではある。

 

少尉は結構ソーシャルディスタンスガン無視してることが多いんですけど、ああいうアプローチされると見てるこっちも照れますね!!あのアプローチの仕方は顔の良い人間しか許されない行為だと思います。にくい男〜!

 

 

そして柚香さんの感想(?)

圧倒的な華を再認識しましたね。

金髪は地毛ではと思わせるほどの似合い具合。恐ろしい。

あとガウンとロシアの軍服すごく着こなしてて不思議。あれ着こなせる日本人何人いる????加えて、日本軍の軍服ってわりと色合いもそれなりであんまり見栄えがあれだと思うんですけど、彼女が着るとそれなりに見える不思議。不思議がいっぱい。

(あとは歌えるようになれば何もいうことはない…)

 

彼女のお顔がすごく好きなんですけどね、特に横顔。今回結構横顔シーン多かったのでありがたかった。

鼻筋と顎のラインが美。

 

 

あとは感想羅列してきます。

・あすかちゃんの蘭丸

男の子だけど女の子の仕草が多いという役所、男役のちょっと女性要素を足すけどあくまで男であるというなんかもう訳わからんなという宝塚くらいしか巻き起こせない混乱。(前に瀬戸かずやさんもそんな感じの役してましたね)

女性が男を演じていてでもちょっと女性っぽくてってもう何事なの。

 

でもそんなベリキュート蘭丸くんが大好きです。

 

・シベリアのシーンでベルバラが始まるかと思った

剣を掲げながらダンスされるとベルバラを彷彿としてしまう

 

・まいてぃーの開襟

けっっっっっこうガッツリ胸元開けてらっしゃった

 

・冬星さん

原作でも好きだったこの人。やっと一緒に過ごしていけそうな相手を見つけたけど、最愛の人の最愛の人が戻ってきたと知って手放すというそんなBIG LOVEを披露してくれる冬星さん。幸せになってほしい…。

最後は少尉と殴り合いで少年ジャンプだった。

 

あと瀬戸さんのフィナーレの衣装、ジャケットが紺か紫っぽくて中が赤色というわりとどぎつい色合い。瀬戸かずや以外に着こなせる気がしない。

 

・音くり寿

歌えるーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

(高らかにガッツポーズ)

歌えるというそれだけで宝。

旧家のお嬢様の雰囲気バリバリだけど自立した女性、モダンガール姿もバッチリ。

花男のときの演技が良いと聞いてちょっと気になってます。

 

・みんな走るフィーム綺麗すぎやしないか?

柚香さんはダンス上手いし運動神経良さそうな感じなので走り方カッコ良くても解釈合うなうんうんと思ってたんですけど、瀬戸かずやさんもかっこいい走り方なされる…まいてぃーは言わずもがなかっこいい(ダンス上手い人は走り方もうまいと思ってる)

今回走ってハケるひとみんな綺麗な走り方でびっくりしました。

ダッシュハケるシーンもちょこちょこあってわりと走るの苦手でいらっしゃる…?という方見かけると心の中で応援しちゃってるんですが、今回そういうことがまったく無く。かっこいい…。

 

タイドラマ Until We Meet Againでむせび泣いた感想

今や勢いがすごいタイドラマ、私も例にもれず2gatherをはじめとしていろいろと視聴してたんですが、Until We Meet Againの脚本や構成力がすごくて感想をまとめようと思います。

 

ざっくりあらすじを書くと、前世(30年前)で男同士で恋に落ちたが父親たちの反対にあい自殺。現世、大学で再び出会い惹かれあう。

と、輪廻転生ものです。

ざっくり言ってしまえばそれだけなんですが、それだけじゃ終わらないのがこのドラマです。

そのあたりの肉付けが上手い。

 

楽天TVにあらすじが載っていたので詳しくはこちらへ

https://tv.rakuten.co.jp/special/uwma/#story 

 

ドラマを見始めた最初の方は

「前世で料理が下手だったのが現世だと料理上手になってる・・・前世であんなに料理下手引きずってたから現世は料理上手になれてよかったね・・・それとも無意識でおいしい料理をあの人に食べさせてあげたいという気持ちがあって一生懸命に練習していたのか・・・どちらにしろ尊いそしてかわいい」

と思ってたんですが、それだけに留められねえなこのドラマ!!!!!

と気が付いたのでまとめました。

 

このドラマの魅力、大きくまとめると以下5つに大別しました。

 

・性別による否定が無い

 男なのに というワードが出ない快適さ

・泣きの演技が恐ろしく多い&綺麗

 パーム含めみんな泣きの演技が上手すぎる

・親族のその後

 子供を亡くした父親たちの後悔と贖罪

・赦しがテーマでもあるかもしれない

・泣けるシーン編

 

以下、ちょこちょこ書いてきます。

 

・性別による否定が無い

作品にもよるんですが、「男なのに男が好きなの?」とかそういうネガティブなワードが出てこないそれがタイドラマと個人的な推しポイントです。

パームがディーン(前世コーン)のことが気になると周りが気づいても、別段否定しません(ちょっとおちゃらけるときはありますが、男女関係なしなリアクション)

 

主人公のパーム(前世はイン)は料理が得意な大学1年生の男の子で、

友達のティームとマナウとサークルどこにする?という会話の中で

ティームは水泳、マナウは演劇、パームくんは料理研究部にすることを話します。

ここで「へー男なのに料理が好きなんだすごいね」とかそういうことを誰も言いません。

「ふーんそうなんだ!いいじゃん!」

これで終了です。

いい世界ですね。

この世界、男女の性別で趣味や性格を否定しません。

日常生活生きてると、

「女なのに料理苦手なんだ、家事苦手なんだ」

「男なのにぬいぐるみ好きなんだ」

といった性別から固定され、個人としての存在を否定する価値観に出くわすことがありますが、この作品はそれがありません。

その人が好きなこと、得意なことはそれ個人として受け止める世界です。

当たり前といえば当たり前なんですけど、羨ましい世界です。

 

ただ、いざ付き合うとなるとパームくんが特に男同士で恋愛するというのに消極的な傾向です(前世の諸々があるのでしょうがないところもありますが)

 

ただ、親や祖父祖母世代になるとその傾向が若干変わってきます。

ディーンが祖母に恋人がいると打ち明けるシーンでは、

祖母は「あら素敵な彼女さんなのね」と性別を固定して発言します。

その後ディーンは恋人が男だと伝え、祖母は了承します。

 

また、ディーンの母が父にディーンに恋人ができたと伝えるシーンでは

母親から恋人ができたと聞いた父は「(略)お嬢さんが・・・(略)」

と同様の言い方をしています。

 

ただ、現世ではディーンの父から「多くの困難があると思うが乗り越えられるな?」

と聞かれるくらいで反対とまではいかず、親了承の仲となります。

 

まだまだ世代の意識の差に心は痛みますが、もっと未来になればこの会話があるドラマも少なくなるんじゃないかなと思います。

 

・泣きの演技が恐ろしく多い&綺麗

パーム、ちょこちょこ前世の記憶を夜間の夢や白昼夢といった形で見たり思い出したりします。

その関係で涙を流すシーンが多いのですが、涙と涙の線が綺麗に出るという恐ろしい泣き方を習得しています。

前世で関わりのあった親族たちも泣くシーンがあるんですが、どれも後悔や懺悔の念が見える泣きっぷりです。

ドラマの泣くシーンってとりあえず泣いておけばいいでしょ感が見受けられるときもあるんですが、このドラマの涙のシーンはどれもあまりにも感情に訴えかけてくる泣き方をします。

泣くって涙を流せばいいもんではなく、涙が流れるまでの表情、涙が出る感情、涙を流した後の感情といった流れが必要なのですが、各役者さん、見事にその流れを表現しています。

 

あと個人的な好きな泣きシーンは前世のパームの友人がイン(パームの前世)が亡くなったことについて大学で友人と話してるシーンです(3話)。

「葬式にも行けなくて別れも言えなくて」

とインの突然の死を悼むんですが、もう語彙力無い感想で申し訳ないんですけど

親友を失った悲しみと、葬式にでれなかった悔しさと、自分に悩みを打ち明けてくれなかった辛さと、聞けなかった後悔といろいろな感情が混ざりあった複雑な表情をしているめちゃめちゃ良いシーンです。

人間の感情って悲しみ100%の時ってほとんど無いと思っていて、

悲しみ99%と後悔1%とか、そういう水色の水槽に黒い絵の具を一滴たらすとかそんな複雑性があると思います。

この方、そいうニュアンスをしっかり捉えてらっしゃって一辺倒ではない演技がいいなと。

 

 

 

・親族のその後

前世のシーンはそれぞれが生きてるときしか無いので、その後が明かされないまま最終回に突入します。

最終回、なんと前世の2人のお葬式のシーンがあります。

あんなに2人の仲を反対していたインの父親が2人に遺体に赤い紐を結んで来世で出会えることを願います。

「コーン、来世ではインのことを頼んだぞ、私の大切な息子だからな」

もう号泣ですよ。

男と恋愛してたから勘当だもう知らないとかそういう流れにはなりません。

「私の大切な息子」

そして息子が愛していた男に来世の幸せを託す、こんなに泣けることはありません。

亡くなって二人の仲がある意味で認められるのがあまりにも悲しい。

 

そしてコーンの父親は2人が暮らそうとしていたマンションをそのまま買い上げ、

部屋も当時のままにしておいていました。

遺品も大切にまとめてしまってありました。

親族同士で連絡も取り合っていたらしく、各々できる贖罪をしていたわけです。

 

 

・赦しがテーマでもあるかもしれない

前世での思いと現世での相手への感情は本物なのか?

という輪廻転生ものについてまわる問題はあるあると思って置いておきます。

(あとわりとさっぱり解決するので大した問題でもなかったかもしれないです

というか割と現世組が前世にいろいろとらわれがちなのでそのあたりもちょっと関係してるのか?とも思いました。)

 

本題、

インはコーンが死んだことを赦せていませんでした。

 

何話かでお坊さんから赦すことについて話が出たんですが、

パームはあまりピンときていませんでした。

 

前世はコーンが先に自殺し、後を追ってインが自殺します。

実はインはコーンが先に死んだことを赦せていなかったことがパームのセリフで明らかになります。

まあコーンが自殺したときに何で死ぬんだってことを言っていたのでそれなりの感情は持っていたんだろうなとは思っていたんですが、

「インが抱いた感情を味合わせてやる」

とパームが拳銃自殺しそうになるシーンがあり、

そこまでイン(パーム)根に持っていたんだなと。

 

その後のディーンとの会話で前世のインと共に赦すことが出来たんですが、

あんまり注目してこなかった感情だったので最後にえらいのぶっこんで来たなって感想しか持てなかったんですが、お坊さんのシーンが伏線だったのかなと。

そして現世の2人として恋人となり、前世では理解が得られなかった家族と過ごす未来が待っている超Happy Endが待ってました。

良かったねほんと。

 

・泣けるシーン編

他、個人的にむせび泣いたシーンまとめました

 

・インが食べられなかった夕飯をパームが食べる

インが自殺する日(突発的な出来事)、インの姉(ディーンの祖母)に晩御飯に食べたいメニューを聞かれ、あれとこれが食べたいと伝えて出ていきます。

が、そのままインは亡くなりました。

 

ディーンが祖母に生まれ変わりであることを伝えに行った後、パームの部屋に行き夕食を食べる提案をします。

ここで出してきたのがディーンの祖母が作ったあの日の夕食のメニューでした。

パームもそのことをわかっていて涙ながらに夕飯を食べます。

時を超えた夕飯がもう感動です。

 

・パームの名付け親がコーン、約束を守る弟たち

このドラマ、生まれ変わりが見事に親族シャッフル起こしているのでいろいろややこしいことになっているんですが、

コーンが弟たちと将来子供ができたら名前はどういうのがいいのかという話をします。

そこでコーンがパームとかどうだ?と提案をし、弟たちに絶対子供ができたらこの名前にしろよと念を押します。

これまたこの兄弟のシーンがわちゃわちゃしてて親子の喧騒シーンが吹っ飛ぶ癒しのシーンでした。

そして末の弟に息子が生まれたとき、名前をパームとしました。

 

亡くなったお兄さんの言うことをちゃんと守る弟健気すぎて号泣しました。

そして次男の将来の夢が警官だという話が出て、コーンに絶対になれと言われたんですが、ちゃんと警察官になってるんですよ弟。お兄さんとの約束だもんな・・・。

とこれまた号泣ポイントでした。

 

基本兄弟や姉弟の話に弱いです。

 

あんまりひとくくりにすると申し訳ないんですが、BLドラマって世界観が少し狭くなる傾向にあると思うんですが、このドラマは現世の人や友人だけでなく、実は彼らの親族も関わりがあったという割と世界観広めな話でした。

前世の話もうまくからめつつ、ただひっぱられすぎずに現世の2人の話もするのはなかなかバランスが難しいとは思いますが、良いバランスで構成されていました。

 

全体的に語彙力がほしいとこなんですがこれが手一杯でした。語彙力がアップデートされたら追記しとこうと思います。

 

 

그림자를 판 사나이(影を売った男)の照明がカッコいい

韓国ミュージカル、그림자를 판 사나이(影を売った男)

曲も世界観もかっこいいんですけど、PVとか観直してみると、照明めちゃくちゃこだわってるしかっこいいな?!と再認識したので書き連ねてみます。

 

ここで使われる照明、結構光の形が残るの使ってるのが印象的です。ライブで使われるような感じの。

ほんとに役者に光当てるだけだったらそういうの必要なさそうなんですが、形が見えるということは照明の軌跡も観てほしいという照明さんや制作側の意向かのかな・・・と深読みしてみたりしてます。

 

この舞台、舞台全体をただ明るくするだけでなくあえて照明を当てなかったり暗くしたり、明るさの偏りを作ることで人物を立体的にさせてるのでは?と思ってます

 

全体の大まかな照明としてはハイライト映像がみやすいのでこちらから書きます。

冒頭の「GOD BLESS YOU」の映像観ながら、なんとなく主要な照明こんなんかなと描いてみたのが下のになります。パースもへったくれもないんで申し訳ないんですけど。

この舞台、上手と下手の6か所の出入口にある照明(絵だとピンクのとこ)が結構良い仕事してます。

(一番奥の出入り口は照明あるのかよくわかりませんでした)

それについてはちょこちょこ書いていきます。

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結構象徴的なのがGOD BLESS YOUのシーン、他の人々の衣装、上からの照明もくるくる回ってカラフルです。

(1:01当たりに上の照明が映るので注目です)

人々の照明の当たり方がまばらなので少し不気味な雰囲気も出ています。

 

この舞台、ペーターとグレイマンの照明の当て方が全然違うときがあります。

舞台奥から出てくるペーターですが、

0:26付近出入口の照明が当たる位置で演技をしています。

顔も全身もそれなりにとれてます。

 

片やグレイマンですが、舞台奥にいてあまり表情がわかりません。

舞台奥は往々にして照明当たりづらいスポットなのでまあそうなります。

で、0:50でやっとこさ照明あたりやすい位置に来るんですが、

問題の0:58!!!!!!

絵に描いたように舞台手前の照明おちるスポットにわざわざ出てきています。

舞台の仕込みで照明当たりづらいスポットは事前に確認しているはずなのでまあ大抵は周知です。

あとめちゃくちゃわかりづらいですが、1:09の画面左手にグレイマンいるんですよ。

完全に照明おちてます。

前後どっちかに動けば照明当たる場所なんですが動きません。

1:16付近も照明があたらないスポットで横移動しています。

これめっちゃ計算された立ち位置だと思われます。

 

他の人物がそれなりに照明が当たってますし、舞台全体もカラフルなのに、グレイマンだけ唯一暗く、表情もよくわかりません。

 

この照明の当たり方の違いだけでもめちゃくちゃ不気味に見えます。役者の演技だけでなく、こんな感じで照明からも不気味さが出せます・・・すごい・・・

 

そして次のシーン、全体的に薄暗いんですが、

ペーターは照明が当たって顔も全身見えます。

はい、1:31あたりに登場したグレイマン、照明あたってません。

ただ、暗すぎるわけではなく、出入り口の照明に当たる位置にいるので、

顔全体は見えないのですが、横側半分だけ見えます。

これも表情がいまいち読み取れない&顔に影ができていることで不気味さが出ています。

体全体も陰影が出ているので不気味さアップ。

ある意味立体的にも見えるのでかっこいいなとも思います。

あんまり照明当てないかと思いきや、ほかのシーンでグレイマンが主で歌うときとかは照明当ててますね。

照明テクニックが光ってます。

 

あと、PV映像からも

 

0:03のシーン、舞台プロローグです。

もうこの照明の使い方でこの舞台面白いんだろうなと確信しました(早すぎる)

このシーン、照明3つくらい使ってるんですが、

映像だと3つついた状態なんですけど、順番がありました。

まず、後ろのLEDパネルに波しぶきの映像が映って、

ペーターの姿が逆光になって真っ黒で見えます。

そこから①奥、②直下と照明が順番につきます。

ここまでだと顔がとれてないのですが、そこから③ちょい手前横から照明がつくことで徐々に顔が見えてきます。

 

この曲、ゆったりとして少し暗めなんですが、徐々に明るい調子になります。

曲に合わせて照明も工夫。

ちなみに、この薄暗い雰囲気のプロローグですが、最後のシーンもこの曲です。

ですがその時の照明は舞台全体を明るく照らしており、プロローグと対になってます。かっこいい。

 

そして明るいシーンはとにかく眩しいくらいに明るくしてます。

0:20とか1:28とか。メリハリ大事ですね。

 

出入り口の照明、あれ民衆が動き回るシーンで使われますが、

適度に顔を照らすが全部は見えずというのを繰り返します。

表情がいまいち読み取れないので、やや無機質に見せることができます。

 

ちなみに顔をとらない照明の例が1:34にあります。

この画面右手のペーター、照明直下のだけ当たっていて顔に影が出来てみえません。

 

あと一押し照明シーン3:36付近ですが、ペーターの影を中心に照明を当ててグレイマンの上半身をぼやっと浮き出るように当ててます。照明の線もあまり出ないように煙焚いてますね。

あえて!!!全身を見せないかっこよさ!!!

曲調もあいまって神々しさも感じます。

そして4:04あたりに線めっちゃ出る照明使って後光がさしてるような照明。かっこいい。

 

と、大まかな推し照明ポイント書いてみました。

後ろや横のLEDパネルの映像もかっこいいんですが、照明もかっこいい!!!!!!!

 

照明は舞台全体をあててなんぼのもんじゃいと思ってたんですが、あえて陰影をつくったりまばらに当てたりすることで画面にメリハリが出るんですね。

 

再演を待ち望みます。

脳内で舞台上演するっきゃない 戯曲集 三島由紀夫「近代能楽集」

ありとあらゆる公演が中止になった悲しみをいつまでも引きずっててもしょうがないので、戯曲読んで脳内で公演するっきゃないな!と思い立って昔読んだ戯曲集(?)を掘り起こしてきました。

 

この本、8作品くらい収録されているのでさくっと読めます。あと能を基にしてるのでそれと相関や差異を比較するとより面白くなるのかなと思います!!

 

私は三島由紀夫も能も詳しくないのでこの本だけの感想、というかこういう内容で舞台やってほしいなーという妄想を書き連ねます。この遊び(?)楽しい。オススメです(難易度がそれなりに高い)

 

なんだっけ何かの演劇賞の講評に「近年音のリズムが重視され、セリフそのものを軽視する傾向がある」みたいなのが書かれててそうなのかーと思いつつもそういうリズム重視好きなんだけど(柿とかそうだと思う)まあでも三島由紀夫読んでるとセリフそのものを楽しみたい欲もありますね。

 

三島由紀夫「近代能楽集」全体的に湿度高め(のように感じるし私がそういうのが好みなだけかもしれない)
BGMは基本無しがいいなあ。無音が良い。

雰囲気としては時々ねっとりときどきさらっとしたセリフ回しでいってほしい。

全体的に昭和な雰囲気で・・・変に現代チックにしなくていい。

 

内容として、班女と卒塔婆小町について妄想が捗ったので書きます。(ほとんど班女)

ちなみにAmazonだと品切れなので楽天などで買うのをお勧めします。

電子書籍は・・・見つけられなかったんですけどどっかにあるのかな・・・

 

班女

男(吉雄)と扇を交換し、その男をずっと待っている女(花子)とそれを住まわせている女(実子)の3人が登場人物

花子は毎日駅で扇を持って吉雄が来るのを待っている。しかしそのことが新聞に載ってしまう。一緒に住んでいる実子は異常なまでに花子に執着し、花子のことが新聞に載ったのをきかっけに旅に出ようという(吉雄に合わせないため)

そして吉雄が花子のもとに会いに来るが、花子は吉雄ではないと言う。というストーリー。

 

花子にとっては吉雄を待つという行為が目的になっているというか、いつか吉雄が帰ってくるという希望のために生きている気がする。だから本物の吉雄は必要がなくなってしまった。という感じかな?と。

この現実が妄想というか架空の存在と替わってしまう作品が好きでして。

花子は現実を否定することでいつまでも吉雄を待ち続ける世界にいられる訳です。

待つというのはある意味希望がある行為とも捉えることも出来て、来る相手がいるので待つことが出来るし、いつかやってくるという希望をいつまでも持っていればその希望はいつまでもあり続けるわけです

(それが続けられないから大多数は現実に目を向けざる負えないんですが。)

 

ですが探すでもなく「待つ」という行為は当たり前ですが先にも後にも進みません。

あくまで受け身な行動なので停滞の一択なんですね。

 

あと大分昔に読んで記憶があいまいなんですが、別役実の「やってきたゴドー」かサミュエル・ケベットの「ゴドーを待ちながら」の方だったかにこの行為についてあったようななかったような。

「待つ」という話を聞くとこれらの作品が思い浮かびます。なんとなくですが。

 

内容に戻りますが、第一場が実子の独白だけなの鬼畜だと思います。でもこのシーンのやり方次第で実子の花子への執着が分かる気がします。面白いなーこの独白でおそらくこの後のシーンのすべてが決まるんだろうなー。プレッシャー半端ないですね!!

プレッシャーの前にこの長台詞受け持つの怖い!!

 

そして「…そうして追い詰められたら、(笑う)死ねばいいのよ。そうなんだわ。それでいいんだわ。」で第二場に移るんですが、いやあここのセリフ需要ですよ。腕の見せ所!!間と表情でぞわっとさせて欲しい。なんだろうな実子の覚悟と狂気を観せてほしい。

実子は花子が必要なんだけど、吉雄と会ってしまったら自分の手元から離れてしまうだろうと思っているので、どうしても会わせたくない。

でも花子のことを思えば吉雄に会わせるのが花子の幸せなんですけどね。

いやーーーーこれがあまりにも美しくて残酷です。

大切な人の一番の幸せ(実は花子は会うことではなく待つことが幸せになっているが)

花子の幸せをもたらせないというこの人間臭さで片づけてしまうにはあまりにも惜しい。

でも多分実子はその待ち続けている花子を美しく思っているんでしょうね。

 

実子はねっとりとしていて精気がありそう

(ただあまりうるさくしないでほしい)

精気というか花子への執着で生きてる感じがいい。

片や花子は横顔ばかりがイメージに出てくる。ト書きも「(きいていない)」ってあるからそれかもしれないですが、横顔が綺麗なイメージ。肌が白くて生気が感じられない感じがいいなあ。現実を拒否しているのでそういう雰囲気で。

 

第五場は花子が実子の側にいるというか、実子の膝とかに花子の頭をもたれてたり、とにかくどこか身体が触れているのにお互いの目線は混じり合わない体勢なイメージ。

というか終始2人の目線はあまり合わない方向がいいなあ。求めているものが違っている者同士の目線は混じって欲しくない。

 

吉雄のイメージが全然わかないんでどうしようかなという感じです。

実子の存在が強すぎるので・・・。というかこの舞台で感情的になるの実子くらいなんだろうから余計かもしれない。

 

 

卒塔婆小町

これ!!難しい!!私の好みでいってしまえば詩人が少尉の生まれ変わり的な感じでファンタジーな感じでもいける気がするんだけど、ちゃんと読み込めばそんなことはないってなりそう。ラストも詩人の死体が運ばれて老婆が残される侘しい感じだしなあ。

でも少尉の「百年経てばまた会える気がする」ってあるし・・・夢みてもいいじゃない。

ただ、能だと男が少尉の幽霊に取り憑かれて死ぬみたいなのでそこんとこどうなんだろうか。

 

詩人はアンニュイな雰囲気の人でお願いしたい。若いのに死相がみえるのか・・・。誰がいいんだろうか・・・。

全体的に雰囲気を楽しんでください風にやればどっちともとれるのか(姑息な手口)

 

という戯曲と私の好みの葛藤書いただけでした!!

 

 

 

 

 

柿喰う客「美少年」 兼ね役のメタさの利用

無料公開されていたので改めて観てみました劇団柿喰う客「美少年」

初めて生で観た柿喰う客の作品で割と好きだったのでどうせだしちょこっと感想まとめとくかと書いてみます。おもっくそネタバレしています。

 

この劇団結構言葉の雰囲気というか狂言回しっぽい言葉遣いをハイスピードでぶっ飛ばしていくので、文字に書き起こすと面白み半減してしまうため、気になる方はぜひ動画をご覧ください。

https://youtu.be/X0l_v4d2j58

ちなみにこの劇団がこのあとやった舞台「御披楽喜」は劇中にでてくるじゃのめ先生が出てきて今回の話とちょっとつながっているのでこっち観とくと面白いかもしれないです。

 

(あと全体的に美大生に怒られそうな内容だったけど、中屋敷さんは美大生に何か恨みでもあるんだろうかとか考えてました。)

 

この舞台、つくりとしては冒頭の

「そう美少年の獲得に失敗した我々はすでに美少年を演じるのを完全に放棄し・・・この物語を遠巻きに遠回りに演じながら予定時間の60分が過ぎ去るの

をただただただただただ待ち続けるのであった」

にあるように美少年をとりまいていた人々のストーリーが主で進んでいく(後半に美少年役としてでてくるけど)

でもまあ中心人物をあえて出さない手法は結構見る話だし、周りのリアクションから観客の各々が思う美少年像ができてくるので、下手に美少年として誰か出すよりも効果的な気がする。

 

以下なんとなく音の感じとかセリフ回しとかが好き集

「国語教育の限界ね国語教育の限界ね読む書く聞く話すの(略)」

「恵比寿のしがないシガーバー」6:42付近

「そうよ私は人の身の上話を聞くのが何よりも嫌いな女演劇の登場人物としてはあまりにも使い勝手の悪い登場人物」8:00付近

「そこにアートはあるのかい」

「へっデザインの音がする」30:20付近

 

題名にもある「美少年」であるひばりちゃんは、誘拐事件の被害者だった。

昭和最後の事件で、その犯人はいまだに不明であり、月日が経ち劇中の現在平成30年。

当時のひばりちゃんの話や、現在の時間軸で同窓会長が今のひばりちゃんの居場所を突き止めようとして、過去の事件の本末、そして現在のじゃのめ先生行方不明事件の犯人も判明する。

じゃのめ先生の話は長くなるので、担任とひばりの話について書きます。

 

この舞台、登場人物結構でてくるが、4人で兼ね役しながらやっている。

同じ役者がシーンによっては違う役を演じるが、特に衣装や化粧を変えるわけではないので、割と役者のビジュアルがそのまま投影される形だ。

 

舞台の冒頭にひばりパパと当時の担任が出てくる。

後々話が進んでいくとわかるのだが、現在の美少年ではなくなったひばりは、ひばりパパとして気がくるってしまった当時の担任と過ごしている。ただし、担任はいまだに昭和に起きたひばりちゃん誘拐事件の真っただ中にいて、ひばりちゃんの帰りを待っている。

ひばりは美少年として崇拝している元担任をそばに置くことで美少年だった特権というか、人生で輝いていた瞬間に溺れていた。

 

ちなみに、ひばりパパは後々でてくるひばりちゃんと同じ役者だ。

舞台をある程度見慣れている人ならこの兼ね役は納得すると思う。

基本的に父と息子が出てくるとしたら同じ役者が両方演じることが多い。

だからそういうもんだと思うじゃん冒頭。それが普通だと思うじゃん冒頭。

現代の時間軸でもひばりが「ひばりパパ」として、当時の担任は担任のままとして生きてるだなんてつゆほども思わないわけですよ。この兼ね役が当たり前(?)なので。

これが判明したとき、素直にやられたなーと思った。

演劇のメタい部分、役者が兼ね役をしているという現象をそのまま使っているトリックだったからだ。

 演劇観慣れた人ほどあのやられた感があるんじゃないかと思う。

 

そして、現在と昔が行ったり来たりするので、いまいち「ひばりパパ」がそのまま昔の「ひばりパパ」なのか、現在のひばりが演じている「ひばりパパ」なのか」いまいちわからない。

冒頭のシーンはどっちなのかいまいちわからないので置いときます。

ただ、11:42あたりの先生とお父さんのシーンは多分現在なんだろうな

「チャイムは鳴ってませんよ落ち着いて」のセリフが浮いているのでなんとなく違和感があったが、おそらくあそこは現在の時間軸なんだろうな。

 

チャイムが鳴って、

ひばりちゃんが帰ってくる(過去)と、

同窓会長がひばりと元担任のいる部屋に乱入する(現在)

の2つに次元が枝分かれするのでまあうまく作ったもんだなと。

 

ネタバラシの後のスピードマッハの伏線回収は割と気持ちが良いし、

最後に展覧会のシーンで裁判沙汰になる美大生お前もおったんかーとか小ネタ(?)もある。

前半は割とふざけてるシーンもあるけど、後半から一気にシリアスシーンに突入する温度差よ。

スピード感のあるセリフ回しの劇団のジェットコースターのようなテンションの上がり下がりを体験してみてください。

 

フランケンシュタイン

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梅田芸術劇場

ビクター:柿澤勇人

アンリ:加藤和樹

で観ました。以下、倫理観があまりない人間の感想&ネタばれです。

 

総評として、アリかナシかといえばアリ。

あと、人類の創造って言っているけど、あれどっちかというとリサイクルでは?と思ってしまったが、当時の技術としてはつぎはぎにするので精一杯だろうし

ビクター自身も人間の部位は材料としか見てなくて、材料をくっつけたら人間になったぞ!やったね!な感じなんだろうな。

 

ただ、沼るほどかといえばそうでもない。

個人的に沼るポイントとしては、双方とも相手を求めていたのに、歯車が微妙にかみ合わなかったためにすれ違ってしまうやつです。

※主に1幕の話をしています。2幕はすれ違いっぽいですけど、個人的に実験が成功したのかとか、成功はどの範囲まで許容してるのかとか、そっち方向に意識をとられていて関係性にあまり目をむけられませんでした(なにやってるんだ)。

でも1幕微妙にすれ違いか…でも研究成功は2人の夢だろうから、ある意味すれ違ってない…?

沼る例:スリルミー、그림자를 판 사나이(影を売った男)

(ほかにもそういう感じのあるよ!ってあったら教えてください有識者

クパンサはなんというかペーターがベンデルのことめちゃくちゃ慕っていたのにその正体は・・・なとこですね。あれは別にある意味片方が相手のこと求めて・・・いなかったようなどうなんだろうでも(略))

 

あと、そもそもの設定として、「怪物をフランケンシュタインの友人にすればいいんじゃない??」と言い出した制作陣ひとの心ないな!!!(ほめてる)

墓堀してるアンリとビクター以上に怖いですよ。

クパンサもそういう感じにひとの心ない設定にしてますけど、何?韓国って制作陣の闇勢多い??

やめてくださいそういう設定好きな人間だっているんですよ!!!

 

 

好きな曲:たった一つの未来、夢の中で、人殺し(?)

たった一つの未来と人殺しの歌はメロディーが好きでした。夢の中ではどっちかっつうと歌詞かな。

 

そうそう、柿澤ビクターと加藤アンリ、お互い求めていてかっちり歯車かみ合ってたので沼らなかったです(率直)

感想をみると柿澤ビクターと小西アンリが陰×陰属性だったらしいのでそっちだと沼ったのかな?と思ったりしてますが、これはこれで面白かったです。

 

設定から考えると、ビクターは一族がもう町の人から良くない顔されてて(位が高いからそれ以上のことが起きないだけで、それなりの地位じゃなかったらもっと酷い扱いになってそう)、頭が良すぎて(そして生物を実験台としてみている)とこから友達もおそらくいない環境で、親の愛情も十分受けずに育ったところに、技術的に優れているアンリに出会うわけで。

ちょうど気も合ったし、腹心の友に出会えたのでビクター超ハッピー。

 

一方、アンリも両親いないし、学会から異端児扱いされてるし、生きてる意味わかんなくてそのうち自殺しそうな雰囲気だったところに「君の論文読んだよ、素晴らしい」って言ってくれる人いたらそりゃ惚れてまうやろ案件ですよ。

論文読んでくれただけでもいいのに、それに評価を与えてくれた神が目の前にいるわけですから、そりゃあ首差し出すわ・・・。

 

あと役者の要素も足すと、柿澤ビクターがあまりにもシャーロックみたく子供のまま大人になった自分勝手で人を見下してるわがままBOYなんですが(柿澤さんの十八番)

そこに心の広さが太平洋の加藤アンリが入ると、なんか・・・腹心の友っていうか第二の母っぽいんですよね。

飲み屋で泥酔した柿澤ビクターを介抱する加藤アンリなんというかオカンでした。

雑に対処せずに、はいはいもーしょうがないわねアンタはみたいな。

(でもオカンでありながら、それなりに女性の扱いが上手いので、遊びなれてそうではある。やるな加藤アンリ・・・)

 

しまいにはギロチン行く前の聖母のほほ笑みですよ。

ギロチンまでの流れですが、なんやかんやで葬儀屋を殺したのがビクターで、その罪を被ってギロチン行きになったのがアンリなんですけど、

加藤アンリだと、彼が一方的に思いついて柿澤ビクターに罪被るって言ってそう。

アンリ的には、どっちが良い研究者か分かってたと思うし、なんなら新鮮な首がいるのは本人も分かってたし、そして両親いないし、遺体の引き取り先がどうのとか考えると・・・となる気がする。

柿澤ビクターは権力でどうにかしようとしてましたけど、加藤アンリが悪魔のささやきでもしてた気がしますね。

「これで実験は成功する」

とかそういう感じの。

 

友人の生存か、研究の成功か天秤にかけた結果ではあるんですけど、何より加藤アンリがそれを望んでいた気がする。柿澤ビクターめっちゃ取り乱してたし。

あの聖母のほほ笑みは加藤アンリ主体だったんだろうなと。

自分の命より研究の成功優先するのもそれなりにヤバイ気がするんですよね。

どうせ死ぬなら人と研究のためになるならいっかなって感じですかね。

やっとアンリが死に場所みつけれたのかな。

 

それにしてもそれはそれでヤバイきがしますけどね。

正気じゃないぞ、もうちょい人間死ぬ前は顔を強張らせてもいいんだぞ!!

 

人間の死体を材料って呼ぶビクターもビクターですけど(でもそうやってみないと気が狂うと思うし、そう思ってる人じゃないとああいう研究向いてないきがする)

あんなに安らかに死んでいく人間ミュージカルであんまり見ない気がする・・・

加藤アンリ怖い・・・

 

そして、そんな友人をビクターは2回も殺してしまうわけですね(アンリ、怪物の2回)

しんどいな、ビクター。

 

 

場面前後しますが、飲み屋のシーンで「そっかー葬儀屋に行けば墓堀りなんてしなくてよかったな!!」

ってアンリが墓掘るモーションしながらわはっはって笑ってたのが印象的でした。

これ、普通だったら埋め立てとはいえ土掘るの割と重労働だったろうし、なんで手っ取り早い方法思いつかなかったんだろうかってテンションダダ下がりになりそうなとこだと思うんですけどそうじゃないんですよね。

 

ちょっと楽しそうなんですよ墓堀りの思い出。

多分、ビクターがボッチなのは確定として、似たようなことしてたアンリもボッチだったのかなと。それで初めて(?)の共同研究初めての共同作業が墓堀りだったりと考えてみたり。

張り込みみたいに2人で深夜墓地で死体埋めにくるのわいわい待ってたのかなと・・・

そうでもなけりゃあんなに笑顔じゃない気がする・・・

 ちょっとほほえましいんですよ、やってたこと墓堀りですけど。

 

ワイワイ楽しい飲み屋のシーンから一転、アンリ逮捕のシーン、落差がヤバイ。

脚本家は人の心がない(ほめてる)

たまにほかの方の感想で展開が急ときいてたので、そういうことかーと思ったんですけど、でもあんだけバッサリいってくれたほうがいい気がします。観た人にもよるんでしょうけど、私的にはテンポ良いという判断です。

 

一幕はこんな感じで、独りぼっちだった人たちが理解者に出会って、同じ目標に向かって協力してってまるでジャンプ漫画みたいじゃないですか。それは激熱なんですよ。

最終的に理解者の首を実験に使うんですけど。

 

 

2幕は倫理観置いといて話がしたいので、ちょっと覚書をここに。

 

音月さんはじめましてだったんですけど、カトリーヌの中低音の歌の方が声の広がりも無理が無くてとても好きだったーーーー。革命に参加する市民とかやってほしい。

 

あと、時折舞台の背景の額縁のようなものが十字架になってるのがとてもよかった・・・ただあれするなら影も十字になるようにあててほしかったな・・・。

 

場所場所に咲いてた赤いバラの意味がよくわかりません!!教えて有識者!!

 

はい、こんな感じです!!

 

 

こっから先は倫理観ちょっと置いておいた感想書きますのでご注意ください。

 

もしもあの研究成功してたら、論文の謝辞にアンリの名前書くのかな・・・とかそういうことを考えてしまうやつなので・・・。

 

2幕は怪物をあくまで実験台(実験結果?)としてみれるか、アンリの顔をした何かとして見るかで印象が変わる気がします。私は実験台としてみてました。

 

そもそもビクターは運が良くて運が悪いんですよ。

人類を創造するという目標があって、ちょうど戦争が起きてるので素材はごろごろ転がってるし、多分国も死なない兵士の研究とかでなるべく国に被害を減らせないかやってたんでしょうね。

国の研究予算の内訳と自分のテーマが合致したビクター運が良い。

予算とか、物資調達が困難だといろいろ行き詰るので・・・。

でも戦争が終わって、研究内容もアウト寄りのアウトなので葬り去りたかったんでしょうね。

柿澤ビクターの「祖国に栄光あらんことを」的なこと言うセリフ、一ミリもそんなこと思ってなさそうですごく推せた。

彼は幼少期母親を亡くしたのが発端で生命創造を目指してて、国のことなんてこれっぽっちも考えてないんですね。割とこれアブナイですけどね。研究姿勢はすごいけど。

 

でもまあ研究って最終的に自分の知りたいっていう欲求をかなえるためのようなもんだと思っているので、それを純粋にずっと続けられるエネルギーが彼にはあったんだな。

 

そしてアンリの首を使って実験をするビクター、失敗は許されない実験なわけです。

友人を実験台に使うとはいかがなものかとも思われるけど、

ただあの研究をしてるのはおそらくあの2人だけで、2人の目標こそ人類創造。

ただ、最期の2人の共同研究の成果があの怪物というのがなんともいえない。

 

ビクターは人間を材料としてしかみてなくて、人類創造した後のことを考えてなかった気がしますね。

創造した生き物の記憶とか知能とか…

でもビクターはもともとそういう考えだったのでそこらへんを考える必要はあまりなくて、

ただ誤算として顔がアンリなとこ。

 

柿澤ビクターはずっっと人として感情や倫理観の欠けた人間だったんですが、アンリと出会って人を人としてみれるようになってくるんです。

後々お姉ちゃんとか死んでいくときの悲惨さがそれです。

 

実験の対象物だけの存在とアンリを混同しているので、アンリが生き返ったと混同してしまい、生まれてきたのはアンリの顔をした怪物だったわけで…。

 

腹心の友の顔をした怪物に復讐されるのはしんどいな。ただ怪物もビクターの顔したジャックに色々されてたしどっちもしんどいな。

しんどいofしんどい。

 

ただ科学者として実験台を逃すのはあかんですよ、生殖能力の有無とかは考えないこととしても、環境に存在しない生き物を外に出してしまうのはあかん。なんならあそこが1番しんどいくらいだった。

 

あと、実験台たちがビクビクした動きするの、脳の電気がどーのこーのって話が出てたので、おそらく電流イメージだったのかな。

 

2幕はひたすら、アンリの記憶は復元(?)可能なのか、あの生物はどれほど生き永らえられるのか、しゃべれるようになるのか、そのスピードは

とか、完全に怪物を実験物として観ていてしまったので・・・

ところどころアンリの記憶が出てたみたいですけど追いつけなかった・・・。

 

ビクターの「お前喋れるのか」は実験体としてみたてんじゃないかなあ。

 

最後に怪物がビクターって呼ぶとこはさすがにアンリの意識持ってたんかい!!という衝撃と、腹心の友に復讐をされたビクターの呪われた生涯があまりにも不憫だなENDでしたが。

 

なんかそんなにしんどくないなーと思ってましたが感想まとめてるとしんどさがわかってきましたね…。

シャボン玉とんだ宇宙までとんだ

「こんなに有名どころの俳優集めて他の舞台は大丈夫なのか」と言われていた(そして思っていた)シャボン玉とんだ宇宙までとんだを観に行ってきました。

 

結果:なんかもう全てのノリと流れがすっっっっっごく懐かしい!!!!!!(※当人20代後半)

そしてこのクオリティのミュージカルが日本の一般的な水準になったらどれほど良いものか…。と思うくらいハズレなかったです。

 

仙名さんの退団後始めての舞台だから観に行かなきゃ…が8割、内容をほとんど知らず役者が豪華すぎるし、もうこれでハズレたらそれはそれで珍しい(失礼)という思い2割でした。

見ていただきたいこの役者陣の豪華さ

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書かれた時代が時代なので、服装がまんま時代のものなんでしょうけど、それ以上に雰囲気とかセリフ回しが開幕すぐに15年前くらいの上演舞台にタイムスリップした気分になりました。

懐かしさを感じるノリ、テンション、ギャグ(主に宇宙人組、ギャグやりかたとモーションの空気で笑わせにくるとこ)

 

茶店メンバーの掛け合いとかがもう何て表現したらいいのか分からない懐かしいノリ。

床屋のパーマ中かなんかのお客さんが入ってきて戻って次来た時はパーマ失敗してるあのワタワタ感が際立ってそれ。

 

あと地上げ屋がやってくる件とか。

 

懐かしいっていう感情があるってことは私の過去ーーーーーの過去の観劇の記憶それなりにあるんだなとちょっと自分自身に感心しました。

 

以下、雑多に感想まとめ

 

幕開きの曲がすごく宝塚のショーっぽいな・・・書かれた時代が時代だからそう感じるのかな(失礼)とか考えてたら芳雄さんの役が宝塚の作曲家になるからそこに重ねてるのか・・・?

 

•ヘタレめな男が似合う井上芳雄、昭和な男が似合う井上芳雄

「ひどい!」かなんかそういうセリフの時の横になった腰と腕の隙間が絶妙で面白かった。

あと私のファースト芳雄さんはアルカディアの家庭教師の役だったし、そのあとはエリザベートのトートだったのもありなんとなく外国のイメージ強かったでんですが、組曲虐殺をみて日本人の芳雄さんもいいなあとなり、今回の昭和(?)な芳雄さんもよかった。井上芳雄オーラが変幻自在な芳雄さんがまた観れた。

 

•作曲家を目指す井上芳雄

モーツァルトやったやんとぼんやり思ってしまう。完全に仲の人ネタ。

 

•宝塚風シーンで発揮する元花組トップ娘の仙名さん

風ではあるものの、退団後にこういう姿が観れて感慨深い・・・。

あと役柄的に人を振り回す仙名さんが単純に好きでした。あの時代の裕福な家庭のお嬢さんだった・・・。

 

ブレンド

このギャグじわじわくる(好き)

宇宙人組地球人語翻訳機が絶妙に間違えるこの・・・雰囲気とても懐かしい・・・

ブレンドが飲みたくなる。

ギャグで乗り込みつつ、最終的に深みを持たせるのいいぞ!!

 

•音楽の巨匠っぽい貫禄が凄い上原理生(井上芳雄とは7歳差)

多分今まで出会った音楽の先生か教授にこういう人いたんだろうな(偏見)と思ったくらい、ステレオタイプではないだが絶妙に癖がある。

あと声質と髭のせいかもしれないけど、名探偵コナンの新一父の影がちらついた。

本人33歳だけどこのナチュラルにそれ以上の歳にできるのは宝な気がする。

 

•声が良い上原理生

父なる大地役:上原理生 でも違和感の無い深みと優しさのある声。

 

•歌が素直な内藤さん

癖が無くて、実力をひけらかすわけでもなく、ノンストレス歌唱。

 

•ニュースのお姉さんあの時代の人っぽい仙名さん(※私は多分記憶が無い時代なので感覚でものを言っています)

 あの声のテンション再現できるのすごいと思います。

 

•10年待つ決意をする井上芳雄(ヘタレって言ってごめん)

 心の中で芳雄さーーーーーん!!と叫んでしまった(役名で言いなさい)

周りに反対されても獄中婚実行しようとしたり、ほんと好きなんだなって。

無償の愛とはこういうことなのかもしれない。